股関節に負担をかけない秘訣

変形性股関節症はある日突然起こるものではなく、これまでの人生で積み重なった股関節への負担が症状として出てくる場合がほとんどです。

特に、日常生活で股関節に負担をかけてしまうことが、股関節の痛みや変形性股関節症の改善を妨げる一番の要因です。

私の患者さんでも、日常生活で無理をしたことによって、施術でおさまっていた痛みがぶり返してしまう方が少なくありません。

日常生活を改善することなしに、変形性股関節症の根本的な改善は難しいです。

しかし、先生が24時間体制であなたの日常生活を監視することはできません。そう、日常生活の改善はあなた自身でやるしかないのです。

そこで、日常生活で股関節に負担をかけない秘訣をお伝えします。これからお伝えすることを参考にして、普段の生活を見直してみてください。

もちろん全てを取り入れるのが理想的なのですが、日常生活を変えるのは簡単そうで意外と難しいものです。

はじめから完璧を目指すのではなく、できることから少しずつ始めて習慣にしていきましょう。

走らない

ジョギング程度でも体重の5倍から7倍程度の負荷が股関節にかかります。「走る」を含む運動は控えたほうが良いです。

運動の中で、特に変形性股関節症の方に良くないのは、

・軸足を作るもの(野球、テニス、バドミントン、卓球など)

・跳んだり跳ねたりするもの(バレーボール、バスケットボール、ダンスなど)

です。

バットやラケットでボールなどを打つときに、軸足を作って体を回転させますが、このとき股関節をひねることになります。

この「股関節をひねる」ことは股関節や股関節回りの筋肉に大きな負担がかかりますので、変形性股関節症の方は控えるべきです。

また、跳んだり跳ねたりすると、瞬間的に強い力が股関節に加わることになりますので、やはり股関節や股関節周りの筋肉によくありません。

一方、症状が初期段階なら、ヨガや太極拳のようなゆっくりとした動きの中で、股関節周りの筋肉を柔らかくしたり、股関節の可動域を広げることは良いことです。

日常生活においては、よほど急いでいる状況にならない限り、走ることはないと思います。

ただ、お子さんやお孫さんの相手をしていてつい走ってしまった、という患者さんがたまにいらっしゃいますので、気をつけてください。

もし走ってしまったら

・次の日は安静にする

・すぐに治療院に行って筋肉をほぐす施術を受ける

などの対処を必ず行うようにしましょう。

無理をして歩かない(歩く量を減らす)

歩くだけで股関節には体重の4.8倍もの負荷がかかります。体重が50キロなら240キロの負荷が股関節にかかります。

外出の際はなるべく歩かなくて済むように、誰かの車に乗せてもらったり、バスやタクシーを利用しましょう。

また、自分では無理をするつもりはなくても、家族の付き添いでショッピングをしたり、お友達と旅行に行ったりすると、ついつい歩きすぎてしまうことがあると思います。

せっかくの誘いを断わることでストレスが溜まって、精神的な病気になってしまっては元も子もありません。

ですので、

「今日は長い時間歩くことになりそうだな」

という時は、杖を使うことをお勧めします。

杖は痛い股関節と反対側に持って使用します。利き手ではありませんので、間違えないように気をつけてください。

右の股関節が痛い場合には左手、左の股関節が痛い場合は右手に持ちます。そして、痛いほうの足が地面に着く時に、杖を一緒につきます。

杖のような補助器具は、痛くなってから使うものではなく、痛くならないために使うものだと考えておいたほうがよいです。

そして、長い時間歩いてしまった時は、走ってしまった時と同じように、

・次の日は安静にする

・すぐに治療院に行って筋肉をほぐす施術を受ける

などの対処を怠らないように注意してください。

階段の昇り降りを減らす

階段を昇り降りをするということは、片脚で自分の体重を持ち上げたり、支えたりする運動を繰り返すのと同じです。

片脚で体を支えようとした場合、股関節には体重の約3.5倍の負荷がかかります。

変形性股関節症の方にとって、これは望ましくありません。

特に股関節に痛みがあると、階段を降りるときに痛くないほうの脚でストン、ストンと落ちるように降りる傾向があります。

その場は痛くないのでそれでいいかもしれませんが、今度は痛くないほうの股関節やひざを痛める可能性があります。

やむを得ず階段を使う場合は、手すりなどを使って昇り降りするときの負担を減らす工夫をしましょう。

重いものを持たない

重いものを持つことは、股関節に負担をかける要素がたくさん詰まっています。

・体重が増えたのと同じ効果で、股関節にかかる負荷が増す

・踏ん張った時に股関節に無理な力が加わる恐れがある

特に、重いものをもって階段を昇り降りするのは、股関節にとっては最悪なことです。

荷物を片方で持たない

片方の手で荷物を持ったり、片方の肩にバッグをかけて歩くと、身体のバランスが崩れて股関節に余計な負担がかかりやすくなります。

スーパーで買い物したあとに、袋を利き手で持ってしまったり、エコバッグに入れて片方の肩にかけるなど、ついやってしまいそうですよね。

そういうときは、リュックサックのような両方の肩にかけて荷物を運べるものを使って、身体のバランスが崩れないように注意してください。

靴の中敷きを使う

症状が進行してしまった方の多くは脚の長さが左右で変わってきてしまいます。身体は無意識にバランスを取ろうとして、歩く動作に悪い癖がついてしまいます。

すると、腰やひざなど股関節以外のところにしわ寄せがきます。

そのまま放置すると股関節の痛みだけではなく、腰痛やひざ痛などを併発してしまいます。

股関節だけでも相当辛いのに、そこに腰やひざの痛みまで出てきたら日常生活を普通に送ることは難しくなってしまいます。

そうならないためにも、中敷きを積極的に使って、歩く時の身体のバランスを保つことが重要になってきます。

ここでのポイントは、家の中でも中敷きを使うということです。

スリッパに入れたり、靴下の中に入れるなどして、脚の長さのバランスが崩れた状態で歩かないように工夫してください。

なお、中敷きを購入する際は先生の指導を受けてください。身体に合わないものを使うと逆効果になってしまいます。

冷やさない

股関節に限ったことではありませんが、関節痛に”冷え”は厳禁です

冷えると筋肉が固くなって、血流も悪くなり、痛みが大きくなる原因になります。

下着や服装を選ぶときは、保温を重視するようにしてください。

他にも、普段の姿勢や日常の動作を矯正する方法もあるのですが、これまで何十年も染みついた動作を矯正するのは、並大抵のことではありません。

無意識で行ってしまうものをどうこうしようとするよりも、まずは『股関節に負担がかかる状況を作らない』ほうが取り組みやすいですし、効果も出やすいです。

「瀬戸さん、言っていることはわかりますが、なかなか自分ひとりでは難しい気がします…」

そうですね…変形性股関節症の改善は専門家でも難しいと言っているのに、ここまでお伝えしてきたことを一人で考えてやるのは現実的ではないかもしれません。

より確実に手術を回避したいと考えるなら、やはり信頼できる専門家にサポートしてもらう必要があります。

そこで次は、あなたを手術回避に導いてくれる先生の見極め方をお伝えします。

先生が優秀かどうかであなたの将来は決まってしまいます。今お世話になっている先生にこのまま任せておいてよいのか判断してみてください。

→良い先生かどうかを見極める